自分より仕事ができる人や、自分より先を歩いている人と話していると、
「だったら、これやってみれば?」
と、さらっと言われることがある。
なるほど、と思う。
言っていることも分かる。
その人なら、たぶん本当にやるんだと思う。
でも僕は、
「いや、それはちょっと……」
となる。
普段の僕は、わりと「とりあえずやってみる」方だと思っている。
面白そうならやってみる。
分からなければ、とりあえず触ってみる。
そんな感じで生きてきた。
それでも、なぜか足が止まる場所がある。
僕にも、越えたくない壁がある
以前、人と話しているときに、
「ナンパから学べることもある」
という話になった。
初対面の人との距離の詰め方。
断られる経験。
恥ずかしさへの耐性。
なるほど。
理屈は分からなくもない。
でも僕は、
「いや、それはちょっと……」
となる。
そして、ここから僕の頭は急に優秀になる。
ナンパじゃなくても学べる。
そこまでしてやる必要ある?
僕には合ってない。
時間の無駄じゃない?
次から次へと、やらなくていい理由が出てくる。
しかも困ったことに、どれもそれなりに正しい。
自分を納得させるには十分すぎる。
だから、そのまま引き返せる。
でも、ふと思った。
なんで僕は、こんなにやらない理由を考えているんだろう。
壁の場所は、人によって違う
ナンパなんて、なんとも思わない人もいる。
「とりあえず声かければいいじゃん」
くらいの感覚なのかもしれない。
その人にとっては、そこに壁なんてない。
でも逆に、一人で商売を始めたり、農業を始めたり、それを何年も続けたりすることを、とんでもなく高い壁だと感じる人もいると思う。
僕はそこをやってきた。
ということは、
「行動力がある人」と「行動力がない人」
という単純な話でもなさそうだ。
人によって、壁が立っている場所が違う。
誰かにとって10センチの段差が、僕には1メートルの壁だったりする。
逆もある。
だから誰かから、
「これやればいいじゃん」
と言われても、同じようにできるとは限らない。
その人には見えていない壁が、僕の前には立っているのかもしれない。
壁は、全部越えた方がいいのか
僕自身、「迷ったらやってみる」みたいな考え方は嫌いじゃない。
実際、それで踏み込んできたこともたくさんある。
でも、なんでもかんでも壁を越えればいいんだろうか。
今までやってきたことを、もっと深く掘っていくのも一つ。
新しい壁に挑んでみるのも一つ。
「これはやらない」と決めるのも一つ。
じゃあ、何を越えて、何を越えないのか。
そんなことを考えていたら、壁そのものより、別のことが気になってきた。
「なんで、そんなに嫌なんだ?」
何かを勧められたとき、
「なんか嫌だ」
と妙に強く思う。
そんなとき、一回だけ自分に聞いてみる。
「なんで僕、こんなに嫌なんだ?」
恥ずかしいから?
失敗したくないから?
拒絶されたくないから?
自分らしくないと思っているから?
プライド?
昔の嫌な経験?
それとも、本当にただ嫌なだけ?
もちろん、毎回答えが出るわけじゃない。
でも、強く拒否したくなる場所には、自分でも気づいていない何かが隠れているのかもしれない。
過去の経験だったり、
自分の中で勝手につくった、
「僕はこういう人間だ」
というイメージだったり。
そう考えると、
壁そのものより、なぜそこに壁ができたのかを見る方が面白いのかもしれない。
壁は、ただ邪魔なものじゃない。
自分のことを、もう少し知る入口にもなる。
踏み込む場所
最初は、「踏み込み力」がもっとあればいいのにと思っていた。
怖くてもやる。
考えすぎる前に動く。
そういう力。
でも、踏み込む場所は、壁の向こう側だけじゃないのかもしれない。
「嫌だ」
「やりたくない」
と思ったら、壁を越える前に、
なぜ自分がそう感じたのか、その理由の方へ一歩だけ踏み込んでみる。
それくらいなら、僕にもできそうだ。
その結果、
「うん。やっぱり嫌だ」
となったら、それはそれでいい。
考えてみれば、目指している場所だって人それぞれだ。
幸せの形は、人それぞれ。
たぶん、壁の形も人それぞれ。
だったら、
自分が妙に足を止める壁を見つけたとき、
「なんでここなんだろう?」
くらいは考えてみたい。
越えるかどうかは、そのあとでいい。
とりあえず僕は、
次に「いや、それはちょっと……」が出てきたら、
その壁を一回くらいコンコン叩いてみようと思う。
案外、壁だと思っていたのは薄いベニヤ板かもしれない。
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壁を越えなくても進んでいけば、横から越えられたりするかもしれないですよ😁