農業の心技体
雨の日にふと思った。知識、行動、体の使い方が重なって、ようやく技術になる。
雨で畑に出られない日があります。
身体は少し休めるのに、頭の中だけはなぜか畑にいます。
あの畝は、もう少し乾いてから入った方がよかったのか。
あの葉っぱの色は、肥料切れだったのか。
それとも、根が弱っていたのか。
雨音を聞きながら、ひとりでそんなことを考えていると、ふと想像が始まりました。
農業にも、心技体があるのかもしれない。
普通、心技体と聞くと、心は精神力、技は技術、体は体力というイメージがあります。
でも、農業を10年やってきた今の自分には、少し違って見えます。
自分の中では、農業の心は「知識」です。
土のこと。
肥料のこと。
天気のこと。
虫のこと。
品種のこと。
農薬のこと。
販売のこと。
農業は自然相手の仕事に見えて、実はかなり知識が必要な仕事です。
新規就農者のように新しく農業を始める人にもいくつのパターンがあります。
農業大学校で体系的に学ぶ人もいます。
認定農家さんのもとで研修して、現場で技術を学ぶ人もいます。
どちらも、とても大切です。
何も知らずに畑へ飛び込むより、先に学べることは山ほどあります。
ただ、実際に自分で畑を持ってみると、すぐに気づきます。
知っていることと、できることは違う。
これはサッカーに少し似ていると思います。
どれだけ優秀なサッカー解説者でも、必ずしも名プレイヤーになれるわけではありません。
戦術を語れる。
選手の動きを説明できる。
試合の流れを読める。
でも、実際にピッチに立って、相手に寄せられながら、息が上がった状態で正確なプレーができるかは、まったく別の話です。
農業も同じです。
本には「適期に種をまく」と書いてあります。
研修先では「このタイミングで追肥する」と教わります。
動画では「こうすればうまく育つ」と説明されています。
でも、自分の畑に立つと、そこには本に書いていない現実が出てきます。
去年と今年で、雨の降り方が違う。
同じ畑の中でも、乾きやすい場所と湿りやすい場所がある。
思ったより気温が上がらない。
急に暑くなる。
虫が予想より早く出る。
忙しくて、理想のタイミングで作業できない。
そこで必要になるのが、農業の「技」です。
自分にとっての技は、行動です。
知識を入れるだけではなく、実際に種をまく。
失敗する。
観察する。
なぜ失敗したのか考える。
もう一度、知識に戻る。
そしてまた畑で試す。
この繰り返しの中で、少しずつ「知っている」が「できる」に変わっていきます。
知識だけでは、作物は思ったように育ってくれません。
かといって、ただ闇雲に動くだけでも、技術は磨かれません。
知識と行動を、波のように何度も往復する。
その中で初めて、自分の中に技術が残っていくのだと思います。
そして農業の「体」は、ただの体力ではありません。
体の使い方です。
重いコンテナをどう持つか。
長時間の収穫で、どう腰を守るか。
暑い日に、どの順番で作業するか。
しゃがむ作業をどう減らすか。
疲れた状態でも、怪我をしない動き方ができるか。
一人農家にとって、体は最大の資本です。
若さや根性だけで押し切ろうとすると、どこかで体が壊れます。
腰、膝、肩、手首。
農業は、意外と体に正直な仕事です。
だから、長く続けるには、力任せではなく、体の使い方を覚えていく必要があります。
農業の心技体。
心は、知識。
技は、行動。
体は、体の使い方。
この三つが重なって、少しずつ技術になっていく。
……と、こんなふうに言うと、なんだか農業をものすごく高尚なものに昇華しているようですが、実際の現場では、泥だらけで、汗だくで、虫に刺されながら、ひとり畑でブツブツ考えているだけだったりします。
ついつい農業を人生哲学にまで昇華しようとしてしまう、妄想癖強めの一人農家です。
でも、雨の日にそんなことを考えて、晴れたらまた畑に立つ。
それを繰り返せるなら、まあ悪くない仕事だなと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。これからも、畑で感じたことや、野菜づくりを通して見えてきた生き方の話を書いていきます。
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アップヒルさん、はじめまして☺️✨
さゆみんさんの魔法の本棚からお邪魔させていただきました🔮📚
価値ある有意義なお話、ありがとうございます。やはり実際に体験されておられる方のお話は伝わってくるものがあります。
そして、大事なお仕事をしてくださり、ありがとうございます!
感謝申し上げます🙇♂️
農業ってかなり奥深いし簡単にやりたい!なんて言えないと思ってたんですけど、こうして言葉にしてくれると理解も深まりますし、農家の皆さんへ畏敬の念がますます湧いてきます。ありがとうございます😊