2026年9月。
朝起きて天気予報を見る。
雨。
明日も雨。
数日先も、また雨。
「秋雨って、こんなんだったっけ?」
農家にとって雨は珍しくない。
でも今年は、とにかく太陽が出なかった。
種をまきたい。畑を耕したい。消毒もしたい。
でも、土が乾かない。
そして何より、
予定が立たない。
農業を10年以上やっていると、「この時期なら、そろそろこうなる」という感覚ができてくる。
でも今年は、それが妙に通用しなかった。
「今年の埼玉だけ、おかしいのか?」
そう思っていた。
うちは冠水していない。でも、千葉では
幸い、僕の畑や周囲の畑では、水没するような大きな冠水被害はなかった。
ただ、雨が続いて畑が乾かない。
トラクターを入れたいのに入れない。
「明日こそ」と思えば、また雨。
そんな中、ニュースで見た千葉の光景には驚いた。
北印旛沼の堤防が決壊し、周辺の農地が水につかっている。
とんでもない状況で当事者だったら絶望な気分になる映像ばかりだった。
東京でも9月の日照時間は、わずか45.8時間。
「うちだけじゃないな」
そう思って、さらに世界の天気を調べてみた。
すると、もっと普通じゃなかった。
「観測史上」って言葉が多い…
世界の9月の天気を調べていて、妙に目についた言葉がある。
「観測史上」
もちろん、調べた異常気象が全部「観測史上」だったわけじゃない。
それでも、世界を見ていくと——。
インド北部では、平年なら7.6mmほどの期間に66.5mmの雨。ネパールでも洪水や土砂災害が起きた。
乾燥したイメージの強いリビアでも、激しい雷雨による鉄砲水や浸水。
オーストラリア・クイーンズランド州のTopazでは、24時間で376mm。
同州の9月の日降水量として観測史上最大だった。
一方、ヨーロッパ周辺の海では、2026年夏の海面水温が、信頼できる衛星データがそろう1982年以来で最も高くなった。
観測史上最大。
観測開始以来。
記録的豪雨。
記録的高温。
「また観測史上の言葉が」
思わず、そんなことを考えた。
もちろん、昔から洪水も干ばつも猛暑もあった。
これらが全部、同じ原因で起きているわけでもない。
それでも、「珍しいはずの天気」が世界のあちこちで起きているのを見ると、
いったい何が普通なんだ?
そんな気分になってくる。
「晴れるまで待つ」が通じない
農業は、かなりの部分を経験則に頼っている。
「この時期なら、このくらい雨が降る」
「そろそろ気温が下がる」
「ここで種をまけば育つ」
もちろん、天気予報の技術そのものは進歩している。
だから、「天気予報が役に立たない」という話ではない。
僕が今年感じたのは、
過去の「普通」を前提にしていたら、仕事が追いつかないということだった。
雨が一日ずれれば、その後の作業も全部ずれる。
ようやく土が乾き始めたと思ったら、また雨。
「晴れるまで待とう」
そうやって待っていたら、いつまで経っても種をまけない。
だから9月、僕は一つの「普通」を捨てた。
「晴れた昼間に農作業をする」
という普通だ。
狂った天気には、狂った方法で
雨雲レーダーを見る。
「今なら2時間いける」
畑へ向かう。
雨が止んだらやる。
小雨でも、できる作業ならやる。
昼間にできなかったら、夜にやる。
実際、夜の畑で種をまいた日もあった。
晴れるのを待たない。
昼間にもこだわらない。
「普通ならこうする」を、一つずつ捨てていった。
そんな9月、何度も自分に言い聞かせていた言葉がある。
「狂った天気には、狂った方法でしか太刀打ちできない」
もちろん、危ない雨の中で無茶をする、という意味じゃない。
僕だって、晴れた昼間にのんびり仕事がしたい。
でも、天気は変えられない。
だったら、
自分の動き方を変えるしかない。
普通じゃない天気なら、こっちだって少しくらい普通じゃなくていい。
そんなふうに自分の心を奮い立たせながら、長雨のわずかな隙間を追いかけ続けた一ヶ月だった。
それでも、芽は出た
そんな畑で、赤カブ、ルッコラ、赤水菜、サラダカブが芽を出した。
あれだけ太陽が出なかったのに。
「お前ら、すごいな」
ちょっと本気でそう思った。
世界の天気を調べていると、「観測史上」という言葉に何度も出会った。
僕の畑に、そんな大げさな記録は残らない。
残るのは、
雨の隙間にまいた種。
小雨の中で立てた支柱。
暗くなった畑で続けた作業。
そして、そこから出てきた小さな芽。
それが僕にとっての、2026年9月の記録だ。
これから天気の「普通」がどうなっていくのかは分からない。
農家の常識だって、また書き換えることになるのかもしれない。
でも、とりあえず9月は終わった。
雨の中でも種はまいた。
芽も出た。
やれることは、やった。
そして今日、10月1日。
外に出ると、雲ひとつない青空が広がっていた。
久しぶりの晴天。
「おお、晴れてる」
ただそれだけで、ちょっと心が躍った。
太陽って、こんなに気持ちよかったっけ。
なんだか僕まで晴れた気分で、10月が始まった。
さあ、10月。
キラキラして暖かい太陽光線を、たくさん浴びさせておくれ!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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最近の豪雨や自然災害
地球が自然がいい加減にしなさいって怒ってるんだろうな〜なんて思ってます。
それでも種を蒔いて芽🌱を出してくれる野菜の生命力を感じますね!
アップヒルさん
「狂った天気には、狂った方法でしか太刀打ちできない」
強い言葉ですね。
私は大好きです。
自然とは正攻法で戦えないから
戦い方変えるしかないですもんね。